2012年度ー新潟県中越地区の高校入試(その2)

新年、あけましておめでとうございます。

 前回は、新潟県中越地区の高校入試事情をお話ししました。すなわち、楽な高校入試状況のために中越地区の大学受験レベルが、全国のそれとあまりにも格差が広がってしまっていることです。その結果、多くの能力ある公立高校生が本来の実力や希望に見合った大学に進めない状況があると、説明しました。この点こそ、私が日頃から、本当に惜しい、と考えている点です。なぜならば本来、基礎学力は、実は中学時代から高校入試を通じて一番養われると、私自身は考えているからです。

1.自分の目指す方向性や能力に見合わない大学進学

 日頃のこの地の中学生を観察していると、教育を社会で無用な、単なる勉強すること、と一面的にとらえている意識が散見されます。これでは、本当の意味で、学習意欲 は育ちません。意欲がなければ、日常の学習習慣が身につかないのです。その結果、都会と地方、あるいは都市部と農村部との教育格差はますますひろがりま す。これは将来の経済格差や治安悪化につながりかねないのです。これからの日本は、いかに一人一人が個人としてしっかり生きていくのか、という、良くも悪くもアメリカ型の社会に近づいていくでしょう。
 
 こうした状況の中でも、高校入学時点では、決して成績上位グループに入っているわけではないのに、3年後、自分の思い描いた進路に進むお子さんもいます。そういうお子さんは、この不況下においても、自分の方向性に合った、しっかりした就職先にすすんでいます(高校卒業後も時々、メール連絡して確認しています)。私が、言いたいのは大学進学がすべてでなく、きちんと将来に向けた準備をしてほしいのです。この地区のアンバランスな点は、一部の進学校は、学生の自由を制限して、無理な競争を強いるという”うわさ”が一人歩きしてしまい、ほんとうに人間的魅力を持った能力ある中学生の生徒さんがそうした学校を毛嫌いする、という奇妙な現象が存在することです。これも教育意識の低さに起因する現象です。


2.高校入試で基礎力をつけ、高校時代は自らの目指す方向性を探す

 教育制度と意識が調和している例は、県立長岡高等学校です。新潟県を代表する進学校ですが、そのカリキュラムはガリ勉一辺倒であはりません。他の公立高校とさして変わりません(医学進学コースは特別カリキュラム)。部活動も推奨されており、その活動も一般的に他の公立校よりも厳しいくらいです。全国的にも十分に通用する学校であると思います。生徒一人ひとりの意識も高く、それを厳しい環境で鍛えようという校風が息づいています。学生さんを近くから観察してもそれがよくわかります。
 
 大学進学については、親御さんにとっても、お子さんの方向性や能力に見合わない進学先にお金を払うのは経済的損失です。実際に入る価値のある学校(偏差値の高低ではなく)とない学校が存在するのは事実だからです。良い学校は、それに見合った企業努力を重ねています。ところが学費に関しては、どの進学費用もたいしてかわりません。大切なお子さんとはいえ、教育の対費用効果の高い学校を選びたい、というのも本音でしょう。私の知る高校生で、入学後3年で、大学そのものが廃校になったというケースもあります。

 アメリカでは常識なのであえて書きますが、ハーバード大学には、100万ドルを寄付すれば、入学することができます。だから中東の王族やアジアの富裕層の子弟が多く入学します。しかし大学側は卒業の保証をしません。2%ルールというものがあって、必ず2%の学生は落第し、退学させるルールがあるのです。こうして学校の実利と学生の質のバランスを取るのがアメリカの大学が考える合理性です。日本の場合は、入学時の学力がその質を維持する基準となっています。だからいくら親が大富豪でも、東京大学には入学できません。これは日本の大学システムの考える合理性です。
 
 本来、人は生まれながらにして自由で平等で、等しく幸福追求をする権利を有する、というのは近代の人権思想の前提です。あるいは、資本主義が、システム的に一部の恵まれた階層と、そうでない階層を生み出しているとしたら、その是非はともかく、少なくても自分の家族は、それなりに準備をしなければなりません。教育は、こうした制度の中でも有力な武器になります。将来の方向性や努力は、できるだけ自由に本人の決断に任せる。しかし、その環境や情報は大人が整える責任があると思います。方向性や努力の度合いをきめる情報も知っている人間が話してあげるべきです。それを単に成績や競争心をあおる事で無理に勉強させても、将来につながる、よい選択はできません。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://sakuracoms.net/mt-tb.cgi/165

2012年2月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29      

このブログ記事について

このページは、さくらコミュニケーションズが2012年1月 4日 16:52に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「2012年度ー新潟県中越地区の高校入試(その1)」です。

次のブログ記事は「高校入試受験生の募集です!」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。